AI戦略推進チームリーダーの繁田です。
6月某日、AI戦略推進チームの最初の大きなマイルストーンとなる社内AI基盤「FUTABA.ai」をリリースいたしました。本記事では、その構築背景と機能、そして100%AI生成プロダクトによる新たな挑戦についてご報告いたします。
FUTABA.ai 誕生の背景
社内LLMの定着を目指して
AI戦略推進チーム発足から約2ヶ月、私たちが最初に取り組んだのは「社内でAIを日常的に使える環境づくり」でした。外部のAIサービスも優秀ですが、セキュリティやコスト、カスタマイズ性の観点から、まずは社内でコントロール可能なAI基盤を構築する必要があると判断しました。
そこで誕生したのが「FUTABA.ai」です。この名前には2つの意味が込められています。一つは、qnoteの亡き会長(猫社員)である「ふたば」への想いを受け継ぐこと。もう一つは、「Future Technology And Business Acceleration」の頭文字として、未来の技術とビジネス加速への願いを表現しています。
DifyとOllamaによる基盤構築
FUTABA.aiでは、DifyとOllamaを組み合わせたアーキテクチャを採用しました。Mac Studioを活用したローカル環境において、社内メンバーが直感的にLLMを活用できるインターフェースを提供し、RAGやワークフロー機能を通じて業務特化型のAIツールを迅速に構築できる環境を整備しています。

亡き会長(猫社員)である「ふたば」
開発文化の変革 ― Coolifyによるインフラ自動化
その日のアイデアをその日のうちに世界へ
FUTABA.aiの構築と並行して、私たちは開発プロセス自体の革新にも取り組みました。オープンソースのセルフホスティングPaaS「Coolify」を導入し、開発からデプロイまでのパイプラインを大幅に自動化しています。
これにより、エンジニアが朝に思いついたアイデアを、夕方には動作するアプリケーションとして世界に公開できる環境が整いました。AIによる開発効率の向上と、迅速なプロトタイピング文化の定着。この2つが組み合わさることで、従来では考えられないスピードでの価値創出が可能になっています。
Teams Intelligence Hub ― 100%AI開発の実証実験
AIが生み出したAIプロダクト
6月末、FUTABA.aiを活用した最初の社内ソフトウェア「Teams Intelligence Hub」をリリースしました。このプロダクトは、弊社のコミュニケーションツールであるMicrosoft Teamsに蓄積される会話データを、FUTABA.aiに分析させ、要約やタスク分析、振り返りや問題点の指摘を自動化するツールです。
Teams Intelligence Hubの特筆すべき点は、人間が1行もコードを書くことなく、100%AIによって生成されたプログラムであることです。設計から実装、テスト、デプロイまでのすべてのプロセスをAIが担当し、リリース後の運用や機能追加も継続してAIに委ねています。
受託開発の未来を占う重要な実験
このプロジェクトは、単なる業務改善ツールの域を超えた意味を持っています。受託開発を主軸とする当社にとって、「AIがどこまで自律的に開発・運用を行えるのか」という問いに対する実証実験でもあります。
現在のところ、Teams Intelligence Hubは順調に運用段階に入っており、想定通りの機能を提供し続けています。この成功は、今後の開発スタイルや提案手法に大きな変化をもたらす可能性を秘めており、私たちの事業戦略における重要な転換点となるプロダクトと位置づけています。

社内ツール Teams Intelligence Hub の分析画面 - Teamsの会話履歴を様々な角度から分析することで業務を大幅に改善
今後の展開
社内AI定着の加速
FUTABA.aiの導入により、社内でのLLM活用が本格的にスタートしました。今後は、より多くの業務領域での活用事例を創出し、「AIを使うのが当たり前」な組織文化の醸成を進めてまいります。
AI駆動開発手法の確立
Teams Intelligence Hubでの知見を活かし、AI主導による開発プロセスの標準化と品質向上に取り組みます。人間とAIの役割分担を最適化し、より高速で高品質な開発体制の構築を目指します。
新たなビジネス価値の創出
社内で培った技術と知見を、クライアントワークや新規事業に展開していきます。FUTABA.aiのような社内AI基盤の構築支援や、100%AI開発手法のコンサルティングなど、qnoteならではのAI価値を市場に提供してまいります。
最後に
FUTABA.aiのリリースは、AI戦略推進チームにとって重要なマイルストーンでしたが、同時に新たなチャレンジの始まりでもあります。AIを「実験的な技術」から「実用的な道具」へと昇華させ、社内外により大きな価値を生み出していけるよう、引き続き挑戦を続けてまいります。
今後も本ブログにて、AI戦略推進チームの活動と成果を継続的に発信してまいりますので、ぜひご注目ください。